本記事は、当社に実際に寄せられたM&A・事業承継のご相談をもとに、相談者や企業を特定できないよう、内容の一部を加工・再構成して掲載しています。相談時の課題や検討内容をご紹介するものであり、個別案件の成約や同様の結果を保証するものではありません。大型イベント警備をめぐる相談では、契約先、警備員、指導教育責任者、管制体制、許認可、労務管理をあわせて確認することが重要です。ここでは、祭事・スポーツイベント対応に強い会社から寄せられたご相談について、背景と承継に向けた検討事項を紹介します。
相談の概要
ご相談の対象は、祭事・スポーツイベント対応に強い会社です。代表者は事業を急いで売りたいわけではありませんでしたが、単発案件の継続性説明について課題を感じ、今後の選択肢を整理したいというご相談でした。候補先の方向性として動員力を高めたい警備会社を挙げ、隊員・契約先・現場品質を引き継ぐための条件を検討しました。
初期相談では、会社名を伏せた匿名資料にどの情報を記載するかを検討しました。地域、警備種別、売上規模、人員構成、主な契約形態、譲渡理由、希望条件を整理し、NDA締結後に詳細資料を開示する際の範囲と順序を確認事項に挙げました。警備業では情報が漏れると隊員や契約先に不安が広がるため、実名開示は慎重に進める必要があります。
相談企業の背景と悩み
地域での信用と現場対応力を、相談企業の特徴として整理しました。一方で、代表者が営業、契約先対応、採用面談、重要なクレーム対応まで担う体制について、どのように引き継ぐかが論点でした。単発案件の継続性説明についても、現状を把握し、候補先に説明する内容を検討しました。
確認資料として、契約先一覧、現場別の配置人数、隊員の勤続年数、資格者の有無、警備員教育の記録、管制の緊急対応履歴、事故・クレーム履歴、車両・装備品台帳を挙げました。資料の不足を確認し、必要に応じて現場責任者から聞き取る事項を整理する進め方を検討しました。
候補先へ説明する事業の特徴
候補先に確認するうえで重視したのは、承継後も契約先と隊員の継続が見込めるかです。大型イベント警備というテーマでも、現場ごとの信頼関係が品質に関わります。契約書上の条件だけでなく、現場責任者の役割、契約先別の継続年数、隊員の年齢構成と勤務条件をあわせて確認する必要があります。
事業の特徴として整理する項目には、地域での紹介ルート、現場での欠員対応、代表者と契約先の関係、隊員の定着状況、警備種別に応じた教育の蓄積があります。決算書だけでは伝わりにくい情報を、具体的な経緯や運用資料でどのように説明するかを検討しました。
候補先への打診と情報開示の検討
候補先への打診に向けては、対象を広げすぎず段階的に進める方針を検討しました。警備業のM&Aでは、近隣競合に情報が漏れることへの不安が大きいため、候補先の事業エリア、取得意欲、秘密保持体制、警備業法への理解を確認する必要があります。候補先からの質問を記録し、相談企業の負担を踏まえて論点を整理する方法を検討しました。
NDA締結後に実名資料を開示する場合に備え、代表者が説明する会社の経緯や契約先との関係、現場責任者が補足する運営情報を整理する方針としました。主催者別の継続実績の整理を主な論点として、価格だけでなく、雇用継続、引き継ぎ期間、契約先説明の順序、代表者の関与を候補先に確認する条件へ挙げました。
デューデリジェンスに向けた確認事項
デューデリジェンスに向けては、財務資料に加え、警備員名簿、教育実施記録、指導教育責任者の配置、契約先との契約書、勤怠・給与台帳、社会保険、事故・クレーム履歴、保険契約、車両・装備品の状態を確認項目として挙げました。単発案件の継続性説明について候補先から質問を受けた場合に、どの資料で説明するかを検討しました。
承継後のシフト統合、制服・装備品の変更、管制連絡先の切り替え、請求先変更、現場責任者への権限移譲も、候補先と確認する事項です。現場ごとに確認が必要な点をリスト化し、引き継ぎ計画に反映する進め方を検討しました。調査をリスク確認だけで終わらせず、承継に向けた準備にも結びつけることが重要です。
条件設計で重視した事項
条件の検討では、譲渡価格だけでなく、従業員の雇用条件、代表者の引き継ぎ期間、契約先への説明方法、未回収債権、借入・保証、備品承継、承継後の協力範囲を確認項目に挙げました。人員と契約の継続性を踏まえ、価格とあわせてリスクを減らすための条件を考える必要があります。
相談企業にとっては、会社を高く売ることだけが目的ではありませんでした。隊員の雇用、契約先への迷惑を避けること、代表者の退任に向けた準備も重視しました。主催者別の継続実績の整理に加え、代表者が顧客挨拶や現場説明へどの程度関与するかを、候補先と確認する条件として検討しました。
承継に向けた引き継ぎの検討
社内外への説明については、幹部、現場責任者、主要隊員、一般隊員、契約先へ伝える順序と内容を検討しました。勤務条件の変更有無、給与支払やシフト管理の窓口、制服・装備品の扱い、相談先を確認事項として挙げました。契約先には、サービス品質を維持するための体制と緊急連絡先を示す準備が必要です。
引き継ぎ計画に向けて、契約先別の対応、シフト表の統合、教育記録の管理方法、管制連絡先の変更、請求・給与処理の切り替え、車両・備品の名義確認を整理しました。候補先が一方的に制度を変えるのではなく、慣れた現場運用を踏まえて調整する方法と、隊員・契約先への説明を検討しました。
相談で整理したこと
大型イベント警備をめぐる承継を検討する際には、候補先探しの前に、会社の特徴を説明する準備が重要です。単発案件の継続性説明についても、実態と対応方針を整理することが検討の出発点になります。契約先・隊員・現場責任者・教育体制は相互に関係しているため、一つの要素だけではなく全体を確認する必要があります。
また、譲渡企業様は早い段階で費用負担を恐れず相談できる環境を持つことが大切です。警備業M&A総合センターでは、譲渡企業様から着手金・中間金・成功報酬をいただきません。大手他社では成功報酬や最低報酬として2,500万円などが設定される例がありますが、当センターでは成功報酬まで0円でご相談いただけます。譲渡するか迷っている段階でも、匿名で現状を整理することから始められます。
この相談で重視したのは、価格だけでなく現場の信頼をどう残すかという点です。祭事・スポーツイベント対応に強い会社という事業の特徴を踏まえ、情報整理、候補先比較、条件設計、引き継ぎ準備をどの順序で進めるかを検討しました。
事例を検討する際は、譲渡企業の希望条件と買い手の取得目的を同時に確認する必要があります。隊員の雇用継続、契約先への説明、警備業法上の体制、成約後の管制統合を早めに話し合うことで、価格交渉だけでは解決できない不安を減らせます。匿名段階で論点を整理し、実名開示後に詳細を確認する進め方が、警備会社M&Aでは特に有効です。
警備会社M&Aガイド
警備会社M&Aの業務別・地域別ガイド
警備会社の譲渡・会社売却では、施設警備、交通誘導警備、雑踏警備、機械警備、地域密着の取引先、警備業認定、指導教育責任者、教育記録、管制表、隊員さんの稼働状況まで整理することで、買い手に伝わる情報の精度が上がります。








